平成27年度より兵庫県立大学では「コミュニティ・プランナー育成プログラム」を福良地区で実施しています。本事業は、地域の歴史・風土・文化などの資源を活かし、コミュニティの活性化やコミュニティのもつ課題の解決に取り組むことができる人材を育成するプログラムで、特徴としては「ビジネス(経営学)」「ケア(地域看護学)」「デザイン(まちづくり・ランドスケープデザイン)」といった3つの専門技術を活用しながら地域創生に取り組むこと、特定地域での3年間の継続的なフィールドワークであることなどにあります。
2015年度は福良地区の魅力や課題を知るべく、8月7~9日にかけてまちあるき・ヒアリング・WSを繰り返すプログラムを行いました。まちあるきでは衰退が懸念されている商店街や、歴史資産としての福良八幡神社、素麺蔵、漁村建築などを見学しました。また、ワークショップで抽出された魅力としては、“昔ながらの街並み・建物・中庭”や“観潮船などの海沿いに集積している観光資源”が挙げられ、課題としては“海沿いの観光施設から商店街への誘客”が挙げられました。
2年目は先の課題を解決すべく5つのテーマ、すなわちビジネスを中心テーマとした販売促進、商品開発、ケアを中心テーマとした観光客と地域の交流、多世代交流、デザインを中心テーマとした空き家改修に分かれて企画の立案に取り組みました。まず販売促進および商品開発班は観光施設の運営団体にヒアリングを実施、それを踏まえて販売促進案の検討や商品の試作などを行いました。観光客交流および多世代交流班はまず連合自治会長にヒアリングを行い、福良地区の交流実態を把握しました。その後、前者は観光客へのアンケートを実施、素麺をキーワードにして観光客との交流イベントを企画しました。後者はさらに4名の地域住民にヒアリングを実施、その中で今は見られなくなった“水もち”を再現するプログラムを企画しました。空き家改修班は商店街に立地する空き家の解体を地域住民とともに実施、その使い方を提案しました。
最終年度は、これまでの提案の中でフィジビリティの高い3つの事業、すなわちⒶ水もち復活プロジェクト、Ⓑご当地かるたで地域の魅力発信、Ⓒ空き家改修と利活用提案、に取り組むことにしました。具体的な事業内容として、Ⓐ班は、“水もち”を作る食材やそれを包む葉材をヒアリングをもとに再現、愛染祭で体験販売するとともに、制作マニュアルを作成し協働していた地域団体に提供しました。Ⓑ班は老人会や地域の活動家らへのヒアリングと3年間のまちあるきで得た情報をもとに48種の資源を抽出しました。次いでそれらの内容をもとにした読み札とイラストのデザインを検討しご当地カルタを制作、福良をするPRツールとして地域に提供しました。Ⓒ班は古民家2件の改修として、図面制作・解体工事・屋根工事・外壁張替え・庭木の剪定・草刈りなどを実施、内1件はプログラム終了後も改修を継続しています。
・主担当:嶽山洋志
・フィールド:南あわじ市福良
・活動期間:2015年4月~2018年3月
兵庫県立大学大学院
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